「なぜそこまで入れ込む? あの娘に、お前が「結ばれる運命」の王子だからか?」

 私はバルコニーから出る時に振り返って言う。

「王子という身分でなくても私はアリスを愛する。ただの男でも、アリスだけを愛している」

 去っていく私の後ろで、「お熱いことで」というからかいが聞こえた。


 アリスを愛することに身分なんて関係ない。
 私は全身でアリスを愛する。ただそれだけだ──。