他国への影響もあったため、セラード国王は近隣諸国と協力してこれからも海賊征伐を続けていくらしい。

 そして、私たちは今回の事件に貢献したとして王宮に招かれていた。

「ミレーヌ様は私の魔法の師匠だということは本当だ。お世話になった。わが国では魔法は王族のみ使用できる」
「イルゼさ……王子は、お母様を知っているですね」
「イルゼでいい。ああ、それにあなたの隣にいるニコラ殿下もな」

 私が「お知り合いだったのですか!?」と驚くと、不服そうな顔で「一度あっただけだ」といっている。
 どうしてこんなにこの二人は仲が悪いのかな?
 でも、なんとなく一方的に殿下がイルゼさんを気に入らないという感じだけど……。

「ミレーヌ様は私を救ってくれた。魔法制御ができずに命が危うくなっていた私に制御魔法をかけて助けてくださった」
「そんなことが……」
「この笛はミレーヌ様からもらった魔法発動と制御のための魔導具だ。それ以降、私は魔法の研究と魔導具師としてあのアトリエに通っている」

 ネックレスにしている笛を大切そうにぎゅっと握り締めると、イルゼさんはおもむろに立ち上がった。