私があまりに綺麗な光に目を奪われていると、隣にいた殿下が尋ねる。

「それを知っているということはお前も知っているのだな、イルゼが魔術師だということに」

 殿下の言葉を聞いて私ははっと気づく。
 そうだ、魔術師や魔女が魔法を発動させるための媒体である『魔導具』について知っているということはこの子は魔術師の存在を知っているということ。

「はい、イルゼ師匠から教わりました。イルゼ師匠は宝飾店の経営者であり、魔導具師でもあります。でも……」

 ポワロくんの表情がどんどん曇っていき、険しいものへと変わっていく。

「イルゼ師匠が病気で亡くなって、それで僕がこの店を引き継いでいました。そんな時、この笛を狙う人がきて……」
「なんでその笛を……」
「わかりません、たぶんあの人たちは密輸出をおこなっている悪党なのだと思います」

 私とポワロくんが話していると、殿下が思い出したように言う。

「セラード国北の近海で海賊が出たというが、そいつらのことではないか?」
「海賊……?」

 私が聞き返すと、殿下は一つ頷いて話し始める。