パンはクロワッサンのようでサクッとしていて、バターが効いていて美味しい!
 ほんのり甘い味がもう一口、といった感じで食欲をそそる。

「今日から五日間は自由行動だから、まずは目的の王族御用達の宝飾店に行こうか」
「そうですね、お母様のお弟子様というイルゼ様にお会いしてみたいです」
「では、支度が出来たらそこに行ってみようか」
「はいっ!!」

 私たちは朝食を食べ終えて支度を済ませると、街にある宝飾店へと向かった。


「確か、この辺りだったはずだが……」

 殿下も来るのは久々ということで辺りのお店を見て探していく。
 すると、少し小さめの三角屋根のお店があり、宝石のマークが看板に書かれていた。

「ここ、でしょうか?」
「ああ。そうだな、ここで合っているはずだ」

 私は扉を開けて中を覗きながら尋ねてみる。

「すみません……誰かいません……」

 その時だった。
 クリーム色の髪に翡翠のような瞳の小さな子どもが奥の部屋から出てきた。

「助けてくださいっ!!」

 子どもは慌てた様子で私に抱き着いてきた。