ホテルでは天井の高いエントランスに迎え入れられ、たくさんのホテルマンの方が挨拶をしてくれた。
 そうして私がお辞儀をすると、にっこりと笑って「こちらへどうぞ」といってくださる。
 絵画がたくさん飾られた豪華なエントランスを抜けて、列車の乗客は各々の部屋へと入って行く。

「ここが、お部屋ね」

 そうして部屋に入って扉を閉じようとした瞬間、殿下も入室してくる。

「で、殿下!? どうして……」

 私が尋ねる途中で殿下は嬉しそうに笑いながらチケットを見せた。

「同じ列車の部屋だということは……もちろん……?」

 その言葉に嫌な予感がして殿下のチケットに目をやると、なんと同じ部屋のナンバーが書かれていた。

「うそ……」

 なんと私は殿下とここで七日間同じ部屋で過ごすことになってしまったのだ──。