なんやかんやで、あっという間に飲み会の日だ。
久々の飲み会に気分も上がる。
いつもより少しオシャレな服に少し濃いメイク。
「飲み会楽しんできてね。」
「ありがとう。夕飯は冷蔵庫に入れてあるから温めて食べて。なるべく早めに帰るから。いってきます。」
前は歩くたびにコツコツ聞こえていた音も今はない。
それも今はなんだか気に入っている。
待ち合わせ場所についたが、まだ誰も来ていないようだ。
手鏡を取り出して、いつもより少し濃いメイクに懐かしさを覚える。
「藤波さん?」
「あー斉木さん。お疲れ様です。」
黒いインナーに紺色のジャケット。高そうな時計にオシャレなブランドのネックレス。
どこかで嗅いだことのある香水の匂い。
「私服はいつもそんな感じなんですか?」
「えぇ。まぁ。変ですか?」
「いいえ。似合ってます。」
一瞬斉木さんの口元が緩んだのを私は見逃さなかった。
「藤波さんもいつも通りですか?」
「そうですね。」
この飲み会のためにオシャレしたなんか言えるわけがない。
『 斉木さぁん!お疲れ様ですぅ!あっ藤波さんもお疲れ様です。 』
私はおまけかのような…笑
まぁいいけど。
「華ちゃん!おまたせ!みんな揃った?お店入ろうか!」
その後は私も飲みながら注文したりグラスが空きそうな人に声をかけたりと何だか忙しい。
「華ちゃんが全部やることないのよ!アンタたち!ちょっとは気が使えないの!男も甘えないで自分で注文しなさいよ!」
『 えー。だって斉木さんとお話したいー。 』