そのことにも気づいていた。

でも気づかないふり。

全てはこの生活を守るために。

娘が高校入学卒業するまでは絶対にこの生活を守ってやると心に決めていた。

そんなときに現れた斉木直人。

私の心を軽くしてくれた。

それと同時に掻き乱してもくる。

その時点で私はもう斉木さんに惹かれている。

「私が同じ状況に置かれたら大橋さんと同じことを言ってたと思います。すぐに離婚はできない。
すぐにでも相手のところに行きたい。でも1番大切なのは子供です。よく聞く夫はATMって言葉。酷い言葉だけど…。理解出来てしまう私もいます。」


「そうね。だから華ちゃん。勧めるわけではないけど
自分自身だけでも今の気持ちを受け入れてあげていいんじゃないかな。無理に押し殺さなくても時間が解決してくれることもあるから。いつでも相談のるよ。」

「そうですよね。時間が解決か。」

「とにかく!斉木くんと仲直りっていうかさ!気まづい感じやめてくれない?!すごく仕事やりにくいしお菓子の交換もどうしたらいいか分かんなくなっちゃってアタシも困ってんだよ!」

「あははっ。なんかすみません。」

「いいんだけどさ。あの時全部斉木くんに話してたら傷つくかもしれなかったもんね。」

「また声かけてみます。」

「そうしな。さー!まだまだ飲むぞ!」

その後は他愛もない話をして沢山笑った。

心がすごくふわふわしたようだった。