「見たら分かりますよね。私が後輩ちゃん泣かせたんです。」

「どうして?」

納得する訳ないか。

でも内容を話すと斉木さんが傷ついてしまうかもしれない。

「仕事もろくに出来ないクセに無駄口叩いてるからですよ。前々からうんざりしてたんですよね。」

「華ちゃん!」

「…そうでしたか。ですが相手が泣くまで言うことではないです。みんな頑張ってます。今のご時世パワハラなど厳しいので言い方には気をつけてくださいね。」

眉間にシワを寄せて今まで見たことない様な顔で私を見つめてくる。

胸が締め付けられた。

何でそんな悲しそうな顔するの。

「斉木くん!アンタねぇ!!」

「はい。申し訳ありませんでした。」

「華ちゃん!なんで!」

「業務に戻ります。」

これでいい。これでいいんだよ。

私が悪者でいい。

あんなにムキになってもう自分自身に嘘をつけなくなっている。

これでパンケーキを食べに行こうものならブレーキが効かなくなる私が想像できる。

今の件で少し気まづくなるだろうし必然的にパンケーキも行きずらくなったからよかったのかもしれない。

これで悩まなくて済むから。

斉木さんの浮気の噂話をする人もいなくなるだろう。

いいことばかりだ。