「おはようございます。」

「華ちゃんおはよう!」

昨夜はなかなか寝付けなかった。

こんな事で悩んでどうする。

世間一般的には断る案件だろ。

「おはようございます。藤波さん昨日言ってたパンケーキいつにしますか?」

んー!なぜ大橋さんの前で聞くの?!

私は大橋さんの方を向いてしまった。

すーごくニヤニヤしてる。

何か言いたそうにすごくニヤニヤしてる。

「いつがいいですかねぇ…笑」

「藤波さんに合わせるので連絡くださいね。」

「分かりましたー…。」

朝から会議があるのか斉木さんは荷物を置いて会議室の方へ行ってしまった。

大橋さんだったからよかったものの…。

これが他の人たちの耳に入っていたら…。

考えただけでもゾッとする。

「はーなーちゃーん。どういうことかなー。おばちゃん聞いてないんですけどー。」

そうなるよねぇ。

「いや、お互い甘いものが好きだから斉木さんおすすめのパンケーキを食べに行かないかって言われまして…。一応夫にもOKは貰ったんですけど本当にいいのかなって思ってて…。私は結婚しているし世間一般的にはNGなのではないかなぁと…。」

「…。」

えっ聞いてる?大橋さん?

すーごい顔してる。

般若のお面でも被ってるのかと思った。

怒ってる?なぜ?

「はぁ。あのね華ちゃん。パンケーキを食べに行くだけでしょ?旦那さんにもOK貰ったんでしょ?パンケーキ後にホテル行くならいろいろOUTよ。でもそうじゃない。華ちゃんが行きたいなら行っていいのよ」

確かにそうだ。

ただパンケーキを食べに行くだけだ。

何もないのだからいいじゃないか。

『知ってたぁ?A社の木村さん斉木さんの元奥さんって! 』

『えー!あの木村さん?!まぁ納得だよねぇ。綺麗でお嬢様だもんね。なんで離婚したんだろ。あんな美人と。』

?!あんな美人と結婚してたの?!

美男美女だな本当に。

あんな美人と離婚するなんて本当どうかしてる。

木村さんは取引先の美人でいいとこのお嬢さんらしい。

『それがどうも斉木さんの浮気みたいよ!』

『えー!まぁ女は寄ってくるよねぇ。あんなハイスペなかなかいないもん。私なら許しちゃうなぁ。でもあんな美人捕まえといて浮気ってないわぁ。』