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「というわけで頑張って勝ってお願い聞いてもらう!」

「うわーありがちー」



翌日

朝、校門でたまたま会った霜崎くんに昨日のことを話した。

成り行きで隣に並んで生徒玄関へ向かう最中。


「これ秋斗くんが持ちかけたんだよ!」

好きな人からこんなイベントに誘ってもらえるなんて…私超ツイてる!

「んーよくわからんな、萩原秋斗の実態」


勉強頑張る!
まじ頑張る!

「そんなに頑張って何願うの?」

え?

「お願い聞いてもらうんでしょ?何にすんの」

「…」

「あ、考えてない感じね」


そうだった。

秋斗くんからこんな提案があったことと、お願いを聞いてもらえるという事実のみに大興奮していた。

肝心の中身を決めていない。


「付き合ってくださいとか言うの?」

なっ!
そんなまさか!

「言えるわけないじゃん!勝負にかこつけて告白なんて秋斗くんを困らせちゃうよ!」

「ふーん」

んー。

「…夏休みにある花火大会に一緒に行きたいなって思ってたけど…流石にそんな心内曝け出すようなお願いじゃあ恥ずかしいし…」


…あ

「連絡先」

「え?」

「秋斗くんの連絡先持ってない」

うちの学校は何故かクラスRINE作らない傾向にあるからな。


「それにしよう!」

「…連絡先持ってなかったんだ」