「佐倉さーん佐倉さーん」



「さーくーらーさーん」

……

「さくらみおさーん」

………

「…あ、萩原秋斗」



「秋斗くん?」

どこ?


「いねーよ阿呆」

こつん

えっ

私の頭に軽いゲンコツを落としたのは霜崎くん。

「魂どっか行ってたけど大丈夫そ?」

「あ、ああ…ごめん」



球技大会も無事に終え、
翌週の大会反省の委員会中であることを忘れていた。


あれから秋斗くんはいつも通りの優しい王子様スタイルに戻っていて
あの日、2回ほど見た“いつもと違う秋斗くん”は
あれ以来登場していない。

私はと言うと、相変わらずあの言葉の意味を理解できず日々頭を悩ませている…



「萩原秋斗への恋煩いもほどほどにしてくださいねー」

めんぼくない。


…ん?

「え!?ちょ、なんで秋斗くん!?」

私この人に秋斗くんが好きだなんて言ってないよね!?

「俺は恋愛のスペシャリストだからそのくらい見てればわかってしまうんです」

そんなバナナ。


「マジですか」

「マジです」

「こ、このことはどうか」

「俺はとても優しいので誰かに言いふらしたりしません」

ほ、よかった。