無自覚だよね?
そうだよね?

私の気持ち伝わってないよね?

大丈夫だよね?



「ねぇ佐倉。俺危機感持てって言ったよね」

…え?

「なんであいつに簡単に触らせるの?」

「え…?」


なに…?
どういう意味?

あいつって誰?

あなたは…私の知ってる秋斗くん?


秋斗くんのいつもと違う雰囲気に、一人混乱して謎の汗をかく。



『俺の計算が狂うんだけど』

何故か分からないけど今朝の言葉が脳内リピートされる。



無自覚って…なんだっけ。

なんか…秋斗くん…
近づいて来てない?

せっかく俯いてるのに…このままじゃ…

顔が…見え…



「あ、そろそろ時間だ」

へ?

「14時30分からだよね。閉会式」

ガタンと立ち上がる秋斗くん。
すんでのところで彼の顔を見ることはできなかった。


「え…うん」

「じゃあ行こうか」

さっきまでの低い声ではなく、いつも通りの淡々とした優しい声色。


ポカンとする私にいつも通りの優しい笑顔を向ける。

「ほらいくよ」

「う、うん」



あれ…私の勘違い?

なんだかさっきの秋斗くんは…いつもと違った気がしたけど。

バクバクと激しく波打つ心臓に手をやる。


…秋斗くんが

本当に分からない。