ガシャン!

後ろにあった得点板にぶつかる。

「痛っ!」

そのまま視界に入ってきたボールを避けるため咄嗟にしゃがみこむ。


ガシャーン!

同時にさっきまで私のいた場所に結構な勢いでボールが直撃。

そのまま得点板が倒れた。


…こ、こわぁぁっ!

冷や汗が流れる。

避けなかったら多分私の顔面埋まってた…
腰を抜かして座り込む。



「佐倉さん!」

霜崎くんが走ってくる。

「大丈夫?今のよく避けたね」

「な、なんとか…」


放心状態の私の手をぐんっと引いて立たせてくれる。

「あ、腕切れてる」

え?あー


右腕の外側から血が垂れていた。
得点板にぶつかった時に角で擦りむいちゃったのかな。

まあでもこの程度なら

「この試合終わってから保健室行くよ」

「…じゃその時付き添う」

「別にいいのに」

「いいから行く」



「うわーごめん!君!大丈夫?」

ボールを飛ばした先輩が駆け寄ってきた。

「全然大丈夫ですよ」

「ごめんよ!」

「いえ、試合してればこのくらいよくあることですから」

決勝戦ともあれば当然よね。


「試合再開できるかー?」

先生がこっちを見て言う。

「はい!すぐにー!」

得点板を直す。

変に注目されてしまった。



視線をコート内に戻すとバチッと秋斗くんと目があった。

まっすぐ私を見ていた秋斗くんは、その目を鋭い目に切り替えて先輩達に向けた。