「3年1組の勝利です!」

私の掛け声にコート内で歓声が上がる。

よし、これで私の仕事は終わ…


「ラストバスケの決勝か」

終わってなかった。
そうだった。

霜崎くんが進行表を見ながらため息をついた。


「俺ら仕事多いな」

「どこぞのシモザキとかいう男が断れずに決勝の審判引き受けたからねー」

「へーなんて優しい良い男なんでしょうねぇ。そのシモザキ様は」


私を見てくすりと笑う霜崎くん。

基本私たちのやりとりはふざけ合っているが案外楽しい。



「あ、ていうかバスケの決勝、三年と佐倉さんのクラスらしいね」

え!?

「うそ!」

「何年かぶりに三年以外の学年が決勝に進んだって騒がれてるよ」


あ、秋斗くん…まじで勝ったの?
何それイケメンすぎん?

有言実行とかヒーローかよ!


「よかったじゃん。見れるよ」

やった!!

「嬉しそうにしちゃってークラス想いですねぇ」

「あたぼうよ!やっぱり友達の応援はしたいもの!」


「俺のサッカーは見に来てくれなかったのにー」

なんだと!?

「行ったよ!」

「え?来てたの?」


「女の子のギャラリーが多すぎて埋もれてたからしっかりは見えなかったけど、ちゃんと応援しに行ったよ」

「あ、そうだったの?」


どっちのチームが霜崎くんのクラスかわからなくてずっと敵チームばかり見ていたとは言えないが…

最後の方にやっと霜崎くんを発見できたんだよね。


「行くに決まってるでしょ!かっこよかったよ!最後ゴール決めてたよね」


「……」

少し驚いたような表情で私を見て固まる霜崎くん。


「どうしたの?」

「あ、いや…そっか来てたんだ」



「…案外嬉しいもんだね」

「何が?」

「いーや?さ、行こう」


ちょっと上機嫌になった霜崎くんの背中を追った。