「ごめーん佐倉さん!」
え?
再び先程と同じ声に呼ばれる。
「霜崎くん?またなにか?」
廊下に出ようとしたら霜崎くんの方が中に入ってきてくれた。
「ごめん言い忘れてた。開会式の確認済んだらしいから最初の集合なくなったって。式終わったらそれぞれの持ち場へ行ってくださいとのことでーす」
「了解でーす」
「俺ら最初は卓球だよね」
「せやな」
「その次佐倉さんバレー出るんでしょ?見に行くよ」
「あ、結構でーす」
「いきまーす」
えー茶化されそうで嫌なんだけどー
「だから俺のサッカーも見てね」
「霜崎くんは女の子のファンたくさんいるでしょ」
「そりゃいますけどー佐倉さん来てくれたら嬉しいな」
「みんなに言ってるくせに」
「妬くなよー」
「妬いてないよっ!」
ブンブンと首を振って否定する。
もう!秋斗くんが見てるんだから変なこと言わないでよ!
霜崎くんはククっと笑ってこちらに手を伸ばす。
首を振った際に荒れたポニーテールの絡まりを解いてくれる。
不意に触れられたことに思わず体を硬くした。
「今日ポニーテールなんだね、可愛い」
はぁこれだからチャラ男は。
「ありがと。私も今日の私可愛いって思ってた」
「ふはっ…そっか。じゃまたあとで」
霜崎くんは爽やかに笑ったが、一度だけ冷たい視線を私の後ろの何かに向けた。
そしてそのまま嵐のように過ぎ去っていく。
「……」