「ねぇ冬紀」

「ん?」

「もうすぐ誕生日だね」

「あーそうだね」


「冬紀なんて名前のくせに春生まれなんて笑っちゃう」

「美桜それ去年も言ってたよ」

「だっておかしいんだもん」


「そういう美桜は冬生まれだけどね」

「2月は暦上は春ですー」

「この会話もまんま去年と一緒だね」



「ねぇ美桜」

「なに?」


「こういうくだらない会話、これからもずっとしようよ」

「え?」


「来年も、再来年も、その先もずっと」

「……うん」



「毎年名前と逆の季節の誕生日を笑い合って、放課後デートして、低レベルな冗談言い合って、ずっとさ」

「ふふ、何よ急に。何が言いたいの?」



「…んーいや、今はまだいい。またいつか、この続きはちゃんと言葉にする」


「……じゃあ、待っててあげようではないか」

「ふふ、ありがたき幸せ」







「あ、ねぇ見て冬紀」

「ん?」



「もう、桜の季節だよ」





fin.