……！


唐突の出来事に時間が止まったように思えた。

実際私だけ止まっていたのかもしれない。


強引に引き寄せられた私と、引き寄せた冬紀くんの唇が重なった。



これは…

これは俗に言う…キッスでは！？


それを理解するのに有した時間は決して短くはなかった。



「…これで許す」


そう言った冬紀くんは顔を赤く染めて目を逸らしていた。



なっはっなっっ…


「自分でやって照れないでよ！！」

「いや…やってからちょっと恥ずかしくなった」

「どこの少女漫画よ！」

「多分テンション上がってる今やらないとしばらくできそうになかったから」

「正直でよろしい！」


そうツッコんでいる私も顔は真っ赤でMAXに照れている。


そりゃそうだ。

好きな人との、初めてのキスなのだから…



「私初めてだったんだからね！ふ、冬紀くんは違うと思うけど」

自分で言ってちょっと悔しくなり顔を逸らせば


「…俺も本当に好きな子とは初めてだよ」


！


「自分から告白したのも、萩原にあり得ないくらい妬いたのも、美桜の返事が死ぬほど嬉しかったのも、口実作らないとキスできないのも、全部」


冬紀くんが優しく笑う。


「全部、美桜が初めてだよ」


……