「みーおーちゃん!」

2組の教室を出て1組に向かう途中、そんな声をかけられた。


「千夏ちゃん?」


そこには千夏ちゃんと、いつぞやの千夏ちゃんの彼氏さんがいた。

仲良さげに腕なんか組んじゃってる。



「なんだか気合い入ってるね。目力がいつもより強いよ」

千夏ちゃんがクスリと笑う。


…そうかな。


「まあ…悩みの種が綺麗な花に変わりましたので」


ちょっとカッコつけて言えば

「お〜詩人だね〜」

千夏ちゃんが可愛く笑う。



「決まったんだね?お心」

「決まりましたわ。お心」


「そっか。なんとなくわかってた気もするけど。頑張ってね」

うん。



「私、美桜ちゃんのおかげで変わったよ。今じゃ困らせるくらい祐樹くんのこと大好きなの」



そっか…

彼氏が欲しいだけなんて言ってた千夏ちゃんが幸せそうにしているのを見ると、なんだかほっこりする。


「ちょっと愛が強すぎて困ってる」

彼氏さんがトホホと笑った。



「ねぇ美桜ちゃん」

「ん?」

「美桜ちゃんの言った通り、誰かを好きになるってすごく尊い素敵なことだね」

……

「そうだよ。キラキラしてるでしょ?」

「ええ。とっても」



千夏ちゃんはクスリと少しいたずらに笑う。

「唐突だけど美桜ちゃん。秋と冬、どっちが好き?」

……

「私は、夏が好き!」

「ふっ…あっはは!」