『美桜!』
私を好きだと言った冬紀くん。
仲のいい友達だったはずの冬紀くん。
彼の隣は心地よくて、楽しくて、暖かくて
私なんかを汗だくになって探してくれるほど
とびきり優しい人。
でも冬紀くんは友達で、それ以上でも以下でもなくて
この関係が変わらなくていいと思っていた。
それでも、私を好きだと言う彼の熱のある目に、言葉に
何度も胸が動き、苦しくて、ぐちゃぐちゃになった。
私には他に好きな人がいるんだ。
返事なんて決まってるはずだ。
『ごめんね。私は秋斗くんが好きなの』
その一言が言えれば、こんなに悩むことはなかったのに。
なのに…言えない。
冬紀くんに出会わなければ…
彼が私に恋なんてしなければ…
こんなに慣れない頭を使う必要なんてなかったのに。
自分の本心がわからない。