「美桜が弱くても強くてもなんでもいいよ、俺は」


…え?


「俺は美桜に、強くあって欲しいとも弱くてもいいとも何も思わない。ただ、美桜が美桜でいてくれればそれだけでいい」





「こんなところに閉じ込められたら俺だって怖い。俺たち普通の高校生だからさ、弱くて当然なんだよ。何も悪いことじゃない。俺は、美桜に強さも弱さも求めてない」


……


「ただ…無事ていてくれてよかった、助けられてよかった、美桜がまた笑ってくれてよかった。そう思うだけ。
美桜がビビるくらい強かろうが、情けないくらい弱かろうが…俺が美桜を探す理由は変わらないよ」



冬紀くんの手は、私の頬に触れまま。

だんだんとその手が熱を持っていくのがわかる。


……いや、違うか。


熱を持っているのは彼の手ではない。

きっと、私の頬だ。



不意に、冬紀くんの目が見たこともないような光を持つ。
その目に吸い込まれるように、意識が少し遠のく。


冬紀くんが少し私に近づいた。



だんだんと…縮まる…私たちの距離…

あれ
これこのまま行ったら…


思わず少し瞼を下げる。

頬に触れた彼の手が少しだけ震えた。



呼吸のタイミングが揃う。


冬紀くんの顔が目の前にある…


そして

何かが触れようと……