しばらく泣きじゃくっていた私が落ち着いたのはそれから少し経った頃。

更衣室の中の椅子に座っている私と、その前に屈んで私の目を真っ直ぐ見る冬紀くん。



「…三年の先輩だろ?」

こくんと頷く。

「やっぱりそうか…今朝俺のところに山崎先輩が来た時もいたんだ」

そうなんだ…


「帰る時に1組の教室通りがかって…そしたら美桜の友達の高坂さんが、美桜が鞄置いて出て行ったきり帰ってこないって言うから一緒に探してたんだ」

芽依ちゃん…
ありがとう

「玄関で山崎先輩と例の3人の先輩を見つけて、美桜知らないかって聞いたら…3人で目を合わせて笑ってたから…もしかしてと思って」

……


「でも場所の見当なんて全くつかなかったから…とにかく片っ端から探したんだ」

だからそんなに…汗だくなの?



「ここに辿り着くまでかなりかかった。その間ずっと怖かったよな…ごめんな」

ブンブンと首を振る。


「冬紀くんは何も悪くないよ…見つけてくれてありがとう。助けてくれてありがとう。探してくれてありがとう。本当にありがとう」



更衣室なんて毎週使うし、慣れてる場所だし
私は自分がこんなに弱いなんて思ってなかった。


たった数十分

1人でここにいただけで、涙が出るほど怖かった。


1人でいる時間をこんなに長く感じたのは初めてだった。