「……」

「…っ……はっ」


呼吸が落ち着かない。


冬紀くんの大きな手が私の背中に回る。
そのままゆっくりさすってくれる。



「美桜…大丈夫…もう大丈夫だから」

「……っ、……」



怖かった
怖かった


ひゅうひゅうと下手くそな呼吸音。

冬紀くんの私を抱く力がだんだんと強くなる。


「美桜…もう大丈夫」



私が冬紀くんに縋っていないとまともに立っていられないことに気づいたのか、冬紀くんはゆっくり屈んで座ってくれる。

2人して更衣室の扉のところに座り込む。


それでも彼は、私の背中に回した力強い手を離さなかった。

そして私も…



「こ…こわっ……怖かった」

「…うん…遅くなってごめんな」

「う、うあ…うぅ」


ポロポロと涙が溢れる。
冬紀くんの制服のシャツを濡らす。


来てくれた。
助けてくれた。

こんなに汗だくになって…

彼は私を探してくれていたのだろうか。


彼に助けられるのは二度目だ。



ああ冬紀くん…


ありがとう