「こんなところで黄昏ちゃってードラマごっこでもしてたの?」

「まーさかー!この私がドラマごっこなんてしたら脅威の演技力にギャラリーが沸いちゃうでしょ?」

「確かにダンゴムシの役とか上手そうだね」

なっ!昆虫…と見せかけての甲殻類!

「ふっ…わかってるじゃない、少年」

「あ、いいんだ」


霜崎くんはふふッと軽く笑って私の隣に腰掛けた。



「で?本当のところは?」

え?

「いつも騒がしい佐倉さんが1人でぼんやりしてるなんて、雹でも降らせるつもり?」


…これは

「…もしかして心配してるの?」

「んー?いや、傷心なんだったら弱みに漬け込んで俺にとって都合のいい女“その16号”くらいにしてやろうかと」

あーはいはい。
そうねーそういう人よねーあなたは。


「残念ながら全く傷心ではありませんわよ!ちょっと頭使ってただけ!」

バッと立ち上がってスーパーヒーローの如く片手を掲げる。

「お〜」


くるっと回って霜崎くんに向き直る。

「今日の放課後委員会だよね!球技大会近いから多分忙しくなるよ!またよろしくね」

ニカっと笑って背を向ける。





少し離れたところでもう一度振り向く。
霜崎くんはこちらを見て座っているままだ。


「霜崎くん!本当は心配してくれてたんでしょ!ありがとー!」

そう言って今度は振り向かず校舎へ向かった。



「………」