「何してんの、佐倉さん」
え?
桜の花にむせていた私にかかる低い声。
「相変わらず1人でもやかましいねぇ」
そう言って笑った金髪の青年。
「イモザキくん!」
「霜崎ね?覚えろ?」
霜崎冬紀(シモザキフユキ)
すごい冬っぽいこれが彼の名前。
彼と知り合ったのは高校。
今年に入ってから話すようになったので割と私の中では新しい顔だ。
霜崎くんは私と同じ体育委員会に所属している。
私が1組、彼が2組で委員会での席が隣だった。
初日の委員会に2人揃って遅刻したことで意気投合し、たったの数週間だがかなり仲良くなった。
霜崎くんはいわゆるチャラ男属性で、金髪にピアスがよく似合うイケメン。
女の子からはかなりの人気を誇り、一年生の時から名前はよく聞いていた。
女の子取っ替え引っ替えで、秋斗くんとは真逆の性格。
背が高く180cm近くあるので、165cm程の私でもかなり見上げないと顔が見えない。
白い肌と整った顎のライン、ちょっと目つきの悪い長いまつ毛のかかる瞳は、なんだか見ていると不思議な気分になる。
そんな、私の珍しいチャラ男のお友達である。
女の子取っ替え引っ替えとは言っても、私はそんな対象ではなく、純粋に仲良く話してくれる。
彼の隣は思ったよりも心地がいいのだ。