「…ま、いいけど。千夏、佐倉引き取るわ。どうせクラス戻るし」

げ!

萩原がスッと美桜に手を伸ばす。



ばし!

思わずその手を叩き落とした。


「ってぇな。なんだよ霜崎」

な、なんだよって…


「俺らクラス戻るだけだけど?」

勝利の笑みを向けてくる萩原。


…ぶ、ぶん殴りたい…


「文句がおありですか?2組の霜崎くん」


か、神様…
一発だけ殴らせてください。

一発で我慢するんで…



「もう秋斗くん!変な挑発しないの!」

美桜が呆れたようにそう言い、ギャルの隣から萩原の隣に移動する。

たったそれだけのことに謎の敗北感を覚える。


「もう行くよ!じゃあね千夏ちゃん」

「バイヴィーナスぅ〜」


え?
あれ?

去っていく2人の背中を見て違和感を覚える。



…美桜と目が合わなかった。


別れる時も俺には何も言わなかったし
萩原のことは普通に見てたのに、俺のことは見てくれなかった。

ギャルを俺から引き離した時だけチラッと目があったけど…


えぇ…

なんで…


俺割とメンタル豆腐だからそんなことされると普通に悲しいんだが…


美桜さーん!