「確かにかなり誤算があるけど…それでも佐倉は単純だから。一度伸びたら曲がらない直線だから。俺を好きだって気持ちを簡単に捨てられるわけがない」
萩原が乾いた笑いをこぼした。
……。
それは…その通りだ。
美桜は真っ直ぐでなかなか曲がってはくれない。
今、俺とこいつが同時に告ったって…きっと萩原を選ぶ…
そんなこと…わかってる。
「でも美桜も…俺と同じ高校生で未熟者だ。決して強すぎるわけではない」
美桜は悩んでくれてる。
俺たちのことで頭を抱えてくれてる。
俺もお前も、どっちのことも蔑ろにしない。
そういう優しい奴だ。
だからここで簡単に引き下がるのは、美桜に対しても、自分の気持ちに対しても不実だと思うんだ。
「美桜が悩んでくれているうちは俺だって引かない。本気で好きだから。美桜自身にフラれるまでは、俺は頑張れる」
…
それでもダメだと言うのなら。
萩原がいいと言うのなら…それが美桜の本心なら…
その時は…その時だ。
「気持ち悪い奴だな。佐倉のことわかったような口聞いてんじゃねぇぞ。佐倉は強いよ。弱くなんかない」
それは…
どうだろうな。