どこ行ったんだろ。
とりあえず教室戻るか。
謎に廊下を早歩きする。
1組2組は横並びではなく、1組だけ少し離れたところに教室があるから地味に遠い。
萩原が来る前に会えるといいけど…
「あー!お前!」
…は?
明らかに俺にかけられた声に足を止める。
「なあちょっと聞きたいことあるんだけどさ」
駆け足で俺の前に走ってきたのは…
えっと…
誰だこいつ。
制服の刺繍の色が…3年?
「俺のことわかる?球技大会のバスケの決勝で世話になったんだけど」
あー…
確かこの先輩の投げたボール避けて美桜が怪我したんだっけか。
「ボール飛ばした人?」
「そうそう!その節はすまん!俺、山崎!」
はえーザキヤマ先輩ー
で?
「なんの用ですか」
「もう1人の体育委員だった可愛い女の子わかる?俺のボール避けて転けちゃった子!」
…美桜?
「いやー昨日その子に会ったんだけど超可愛くてさぁ!今日なんとかして一緒に文化祭回れないかなーって思って!」
あ?
ダメに決まってんだろ。
敵は萩原だけでいいよ。
あんな厄介なのがいるんだからこれ以上増えんな。
「無理っすね。諦めてください」
「え?なんでだよ」
「俺と、もう1人ヤベェ奴があいつのボディーガードしてるんで」
「えぇ…」