でも…
いつも馬鹿みたいに明るい美桜が
時にとてつもなく弱く見える時がある。
そりゃそうだ。
だって彼女は俺と生きてる年数の変わらない、未熟な高校生で
俺よりも一回りも小さい身体で一生懸命生きてるんだ。
そのことに気がついた時
強い、明るいと思っていた美桜が、ちゃんと女の子であることを知った。
そして同時に、この厄介な感情にも気づいた。
いろんな女の子と関わってきた俺は、女の子のことはよく知っているつもりだった。
でもそれは慢心にすぎなかった。
美桜を前にすると言葉が出てこない。
得意のカッコつけも上手くいかない。
自分が制御できない。
無意味に、美桜の想い人である萩原に腹が立った。
『恋して愛して恋愛になるんでしょ？輝いてなんぼでしょ』
美桜はそう言ったけど…
そんなキラキラした恋愛感情と背中合わせにいつもある、ドロドロしたこの独占欲は意図せず心を侵食する。
何が女慣れしてるだ。
実際は真逆だったんだ。
いつもうまいことすり抜けていただけで、俺は他人に興味を持つことがなかった。
だから初めて心の底から興味を持った人を前にすると、簡単な制御も効かなくなるダサい男だ。
