美桜はとにかく騒がしい子だった。
俺の周りにはいないタイプの人間だった。
他人の目を気にしない、他人からの評価を気にしない。彼女はあくまで彼女でしかない。
信じられないくらい真っ直ぐで
信じられないくらい明るくて
信じられないことに、常に裏表のない素直なそのままの姿だった。
最初は
この子はとびきり馬鹿なんだろう
世間知らずなんだろうと思っていた。
そして初めて出会うタイプの人間に純粋に興味が湧いた。
でもいつからか美桜と話している時の自分が、他の女の子と話す時とは違う、素の自分であることに気がついた。
彼女の前では無理に笑わなくて良い。
彼女は何も取り繕ってない。
だったら俺も取り繕う必要はない。
美桜の隣は息がしやすかった。
はじめはそれだけの感情だった。
