ーーー冬紀side
佐倉美桜とは高校2年になってから知り合った。
委員会初日に女の子との話が盛り上がってしまい、遅刻ぶちかまして焦って委員会に向かった。
「「すみません!遅れました!」」
クッサイ恋愛映画の冒頭かよ、とツッコミたくなるくらい綺麗に声が重なった。
俺たちの初めましてはここだった。
笑っておけば女の子が寄ってくる人生だった。
ありがたくも母親が綺麗な顔に産んでくれたおかげで、この現代社会ではかなり生きやすかった。
女の子は可愛くて、いい匂いで、柔らかい。
一緒にいると癒されるし、扱いやすい。
もちろん中には恋人になりたいと言ってくる子もいた。
断る理由もなかったので何人かと付き合った。
でもみんな長くは続かなかった。
1人の女の子を特別視することができなかった。
女の子は女の子で、俺の中ではみんな同じ価値だった。
『私のこと好きじゃないの?』
と、何人もに言われた。
好きだよ。みんなと同じくらい。
俺にとってはその程度だった。
みんな、平等だった。
そんな早くも10代で腐った俺の恋愛観をぶち壊したのが…
『佐倉美桜です!どうぞよろしく!白崎くん!』
佐倉美桜だった。
『うん、霜崎ね?』