会いに行こう。
もう吹っ切れた。
もう王子様やめだ。
早く佐倉のとこに行こう。
早歩きで廊下を進む。
「あー!萩原くんだ!」
「ほんとだ!秋斗くーん!」
と、他クラスの女子が俺を指差して叫んだ。
人のこと指差してんじゃねぇよ。
そのゴリゴリメイクした目ん玉に中指ぶっ刺してやろうか。
「秋斗くーん!今日カフェにいるー?会いに行きたーい!」
「写メ撮って欲しいー!」
集まってくる女子ども。
腹立たしい。うざったい。
「秋斗くーん!」
はあああー
「ごめんねー今猿語で話す余裕なくてさぁ。悪いけど同族の雄ゴリラに相手してもらってくれる?そっちの方が話し通じるだろうし星の数ほどいるから」
早口でそう応答する。
都合よく聞き取れなかったのか、猿たちは首を傾げている。
それを横目にスタコラサッサと廊下を進む。
俺が探してるのは猿ではなく、お花なので。