………。

校舎の外のベンチに腰掛け
ぽけーっと春の空を見上げる。


好きな人…いない。

つまり…私の勘違い。


秋斗くんは私のことをなんとも思っていないし
可愛いと言ったのも、会えて嬉しいと言ったのも全部友達として。
決して尾佐奈に嫉妬していたわけでもない。


全部私の…勘違い。



「んぅぅぅー」

かなり恥ずかしい。


そして情けない。

秋斗くんに好きな人がいないと言われて、興味がないと言われて、私からの質問とも受け止めてもらえなくて…

割とショックを受けている自分が、かなり情けない。


秋斗くんは何も悪くない。

だから余計に、この煮え切らない感情をぶつける的が自分しかいなくて馬鹿馬鹿しい。



「はぁぁ」

空を仰いで大きなため息をつけば、みっともなく全開にした口に桜の花びらが入ってきて咽せる。

「ゴホッゴホッ、うえ〜」



「何してんの、佐倉さん」

え?

あ。


「相変わらず1人でもやかましいねぇ」


そう言って笑った金髪を、春の風が意味深に靡かせた。