「美桜はさ」


不意に冬紀くんが少し固い声を出した。
緊張しているのが伝わる。

それは繋がった彼の手からも感じるものだった。


「何?」

「いつもすこぶる明るくてやかましいくらい元気だよね」


急に何を言い出すの。


「何よー冬紀くん。口説こうとでもしてるのかい?」

いつもの調子でからかってみても…


「いや純粋に。なんかすげぇなっていつも思ってた」

……へ、へぇ。
なんか調子狂うんですけど…



「でもそんな美桜でも、今日みたいに混乱して立ち止まることがあるんだなって」



「そりゃそうだよな。だって俺らまだ20年も生きてない未熟者だし、弱くて当然なんだよ」

……!


「いつもどこかで、美桜は真っ直ぐで強くて、なんだか手の届かないところにいるような子だと思ってたけど……昼間抱きしめた時に、俺よりも何回りも小さい身体で必死に明るく生きてるんだと思ったら…なんか勝手に感極まったわ」


……ふ、冬紀くん

待って何、何言ってんの…



「冬紀くんは…」

「ん?」

「私のこと……強いと思う?」


……


「…いいや。俺と同じくらい弱いと思ってるよ」