「色々あるけど…俺は佐倉の騒がしいところに救われたよ」
…さ、
騒がしい?
可愛いとか優しいとかではなく…騒がしい?
「佐倉の隣は、騒がしくて明るくて、一緒にいると忙しくて…癖になりそうな心地よさがあるんだ」
……
「それに佐倉はすげぇ強い。走り出したら止められない。強く張った直線みたいで純粋に憧れる」
…強いのかな?私って…
「でも俺こそ未熟者だから。それを他にひけらかしたくないわけ。俺だけでいいわけ。わかる?」
……ん?
いやわかるかぁ!!
わからんよ!!
「なんなの!?秋斗くんにとって私って何!」
「さあね。俺もよくわからない。でも他のやつのところに行くのは絶対ダメ」
なっ!?
「横暴だ!俺様野郎!自分勝手!独裁者ぁぁ!」
「そんな褒めんなよ」
「褒めてないよ!!」
ブンブンと繋がれている手を振り回す。
だが離れない。
「ごめん佐倉。もう逃してやれそうにない」
秋斗くんの力強い目。
肉も骨も突き破って心臓まで射抜くほどの
恐ろしい魅力。
胸が苦しくなる。
確かに心臓が鳴いている。
強い力で私の手を握る秋斗くん。
だけど…
その手は、熱っぽくて
そこから確かに、彼の緊張が伝わった。