その一部始終を見ていた冬紀くんがため息をついて私のもう片方の腕を掴む。

「ちょっと引っ張るよ?美桜」

え?


ぐんっ!!

わあっ!


冬紀くんにかなりの力で体が引っこ抜かれて秋斗くんの手が離れる。

そして冬紀くんの胸元にダイブ。



…え、何が起こった?
あまりのスピードに頭が混乱している。

でも…冬紀くんだ。

思いの外安心感のある冬紀くんの存在。



「大丈夫?」

「…うん」

見上げて笑えば、ちょっと目を見開いてすぐ逸らされてしまう。

「行こう美桜、休憩終わっちゃう」

「…う…ん?」



ゴゴゴゴゴと音が鳴らんばかりの負のオーラを背中から感じて思わず振り向けば
おそらくガチギレの秋斗くんが怖すぎる薄ら笑いを浮かべて立っていた。


「覚えとけよ?佐倉」

「なっなんで私!?」


秋斗くんはにっこりと綺麗に笑って翻して去っていく。

冷や汗がドバッと出た。