「おはよう佐倉。今日は早いんだね」

「おっおはよう!」



翌朝

頑張って早起きして登校!
秋斗くんを待ち構えていた。


秋斗くんは早めに登校するタイプのようだ。
まだ教室が半分も埋まっていない頃に現れたターゲット。

ごくりと生唾を飲み込み、隣の席の好きな人に声をかけた。


「あの、秋斗くん」

「ん?」


なんの前触れもなくいきなり好きな人いるー?なんて聞いたら下心見え見え。

ちゃんと予習はしてきた。

恋愛チックな話から入ってさりげなく聞く!


「えっと」

予習した通り、予習した通り…

昨日やってた恋愛ドラマの話から入って、それで…



「佐倉?どうしたの?」



秋斗くんが椅子ごと私に近づいて顔を覗き込んできた。

唐突に視界に現れた好きな人に頭がプシューと音を立てる。


「えと…えとえと…あの」

なんだっけ…
そう、好きな人を聞く、ために…さりげなく…


「佐倉?」

「あっ秋斗くんって好きな人いる!?」


………。

ま、間違えた…


まっ間違えたぁぁぁ!!!



あああ!予習したのに!したのにぃ!
さりげなく!ギンギラギンにさりげなく聞くつもりだったのに!

何やってんのよ私!

これじゃ下心どころか、全心丸見えじゃん!
ギンギラギンにさりげないどころか、ただのギンギラギンじゃん!


「いやっあのっえっと…あっ芥川賞が…」

もう意味わかんない言葉出てきたァァ泣

目がぐるぐるしてる。


助けて芽依ちゃん!