人の温もりを久々に感じたせいか、そんな感傷に浸っていたけど
冷静に考えるとこの状況はやばい。


秋斗くん…
あの、いつまでこうするつもりでしょうか。

でも声をかけるわけにもいかず
私も私で何も言えずにただ立ち尽くすのみ。



いっそ言ってしまおうか。

あなたが好きだと。

その方が楽になるのではないだろうか。


…そう、割と本気で考えた。



でも
私をそうさせなかったのは


『美桜のことがすげぇ好き』


冬紀くんだった。



彼は私を好きだと言った。
ちゃんと言ってくれた。

一眼見ただけでわかるほど、彼は私を好きでいてくれる。


…もし、秋斗くんに恋をしていなかったら
私は間違いなく冬紀くんに恋をしていた。

そのくらい、あの人は私の心の中に侵食している。



私が好きな人、秋斗くん。

私を好きな人、冬紀くん。



秋斗くんが好きならそう言えばいいのに…
きっとここまでやってる今の彼ならそれなりの答えを出してくれるかもしれないのに…

それでもその正規ルートに辿り着けないのは、恋煩いという病のせいだ。



私は…どうすればいいんだろうか。

自分の気持ちが分からない。

私のことを一番知ってるはずの私でさえ自分の本心がわからないんじゃ、もう誰にもわからないだろう。


夢に見た少女漫画のようなキラキラした展開とは…
程遠い。