この人は
紛れもない秋斗くんで

私の好きな人で

みんなの優しい王子様。


でも今目の前にいる人は
とてもそうとは思えないほど、身勝手でワケ分かんなくて…

今にも壊れてしまいそうなほど弱く見える。



『変わらないでよ』

とは、どういう意味なのか。
あなたは何をそんなに怖がっているのか。

何も分からない。



やっぱり彼の中で、私はある程度特別な枠に入っているのではないだろうか。

もしここまでやっておいて違うとか抜かすのであれば一発殴らせてもろて。


ただ少し震えるような声と手で
私を乱暴に抱きしめているこの人は…

簡単に離してくれそうにない。



少し前から時折出てきていた“いつもと違う秋斗くん”と

自分を囲うために取り繕ってる『無難』で『問題のない』性格の秋斗くん。


今目の前にいるのは、秋斗くんの一番素直な姿なんだろうか。



分からないや。


秋斗くんのこと


私ってやっぱり全然知らないや。