「嫌だって言った!!私嫌だって言ったのに!」

「あっははは!やばいやばい傑作っ!」

隣で大爆笑する冬紀君をポカスカと叩く。



三年生がガチで作ったお化け屋敷。

私は嫌だって言ったのに冬紀くんに無理矢理連れられて、あまりの恐怖に腰が抜けた。
その私を見て爆笑するこの野郎。


「マジで腰抜かすやつ初めて見たっ」

「もおおお!!」

「ごめんごめん、ほら」


涙目で笑いながら出口で座り込む私に手を伸ばす。
睨みつけながらその手を取って立ち上がる。


「許しておくんなまし」

「許さん」

「じゃあ俺のクラスがやってるクレープ奢ったげる」

「許そう」


単純な私を見てくすりと笑う冬紀くん。
私を引き上げた時に握った手はそのまま握られている。


「じゃあ行こう」

「へ?」


その手を離さないまま、私を引っ張って歩き出す。