「君に会いに行きたかったのになぁ」

へ?


「おい山崎〜口説くな口説くな」

他の先輩に突っ込まれてる。
山崎先輩というのか。

「いいじゃん可愛いんだから。ねぇ君名前はなんて言うの?」

グッと距離を詰められて思わず後ずさる。


えと

「さくら…」



「先輩」


へ?

名前を言いかけたところで誰かの腕が私と先輩の間に入った。



「あっ!!お前!」



「あっ秋斗くん!」


そこには狼の耳をつけてタキシードを着た秋斗くんがいた。

私の前に手を出して、びっくりするくらい似合っているタキシードを揺らしている。


「萩原秋斗!」

あ、そうか…
先輩たちにとっちゃ因縁の相手だものね。


「申し訳ありません。お触り厳禁なんでそれ以上近づかないでください」

「あ、秋斗く」


「では失礼します」

そのまま、私の手ごと看板を持って引っ張るように進み出す。


「おい待てって萩原ぁ!!」

めっちゃ怒ってるよ。
ただでさえ嫌われてると言うのに。



ん?
というか


秋斗くん!?

どこ行くの!?