「………した、かも」

え?


私の支離滅裂な問いかけに、冬紀くんは小さな声で言った。


え……
まじで何かしたの!?

半ば言いがかりな部分あったんだけど!



「え!本当に何かしたの!?ま、まさか催眠とか…?」

「なんでその流れになるんだよ!今そういう雰囲気じゃなかっただろ!」

「だってだって本当にしたかもって言うんだもん!」

「美桜がシリアスな雰囲気で何かした?とか聞いてくるからだろ!」

「だってもう何がなんだかわからないんだもん!変な話だけど自分の本心がわからないの!」



実に荒唐無稽な話だが、本当に自分の本心がわからなくなることがあるらしい。

私は今、そんな現実に直面している。


まだ高校生なのにぃぃ!
お馬鹿で居ても許されるお年頃なのにぃ!



「はぁぁ…」

盛大なため息をつく冬紀くん。

「美桜、よく聞いて」

な、なによ!


「美桜は萩原への好意が揺らいでいることに不安を感じてるんだろ?」

「そ、そうだよ」

「それは美桜にとっては一大事かもしれない。でも悪いけど、俺にとってはこれ以上ないチャンスだ」


…へ?

「な、なんでよ!」


私の投げやりな問いかけに
冬紀くんは一度深呼吸してから座り込んでいる私の目の前にしゃがみ、真っ直ぐ目を見てくる。

なぜだか心臓がグッとなる。