「秋斗くんのことは好きだよ。素敵な人だし、好きになる理由はいっぱいある」

「……」


「でも…不安なんだよね」

「不安?」


「秋斗くんは私に見せてない顔がいっぱいある。本能で恋をしてると思ってる私は秋斗くんにどんな顔があったって、優しくしてもらった経験も助けられた経験も全部事実だから、気持ちは変わらないって言えると…思ってた」

「おもっ…てた?」



でも…何かが…秋斗くんじゃない何かが
この決心を揺るがそうとしている。

それが何なのか

ぼんやりと見えてきた自分がいる。


下を向いたまま溢れるように喋っていた私は、ゆっくり顔を上げた。

私を心配そうに見つめる…冬紀くん。



きっと……

この人だ。



私の中に、奥に浸透してきているのは、多分この人だ。

この人が、私の秋斗くんへの想いを、少しずつ揺さぶっている。



「冬紀くん」

「なに?」

「あなた私に何かした?」

「…え?」


「冬紀くんとこうして話す時間が増えるたびに、何か…うまく言葉にできないけど…よくわからないことになるの」

「…」

「何があっても秋斗くんを好きでいる自信が、冬紀くんと関わるたびに薄れていくの」

「っ…」


「冬紀くん、私に何かした?」