どこまで歩いたのかわからないけど
気がついたら人通りの少ない南校舎まで来ていた。

やっとのことで秋斗くんの足が止まる。


「あ、秋斗く…」

「佐倉さぁ」

へ?

秋斗くんは私の手を掴んだまま振り返った。

異常なくらい距離が近い。
どっくんどっくんと暴れ散らかす心臓。



「危機感っていうものはないわけ?自分がどういう格好してるか分かってんの?」

え…え?

「何そのスカート短すぎるだろ、舐めてんの?」

何を!?

「そんな格好してたら下心丸出しの豚共が寄ってくるなんて一目瞭然だろ?馬鹿なの?」

ぶっぶた!?



ちょっと待ってええ!

情報!情報がぶっちぎりで独走状態!
頑張って!思考!情報に追いついてくれ!


何をそんなに怒ってるの!?
なんでそんな怖い顔してるの!?

ねぇ秋斗くん!



「まさか今日1日その格好するつもり?危険すぎるだろ。わかってんの?」


……ん?
いや、待って。

コスプレするのは私だけじゃないよ?
他の女の子達もだよ。

なんで…私だけ?



「…他の…女の子達も着てたよ?」

「……は?」

「わ、私だけじゃないよ?」


ねぇ秋斗くん。

私がこの格好をすることで、そんなんになっちゃうのは…


…私が
秋斗くんにとって、なにか…

特別な意味を持つ存在だから?

それとも、ただの気まぐれ?



私は
秋斗くんの、この行動の意味を

知りたい。