「……あぁー」



不意に秋斗くんが顔の半分を片手で覆って唸り声を上げた。


「本当…っ」

「秋斗くん?どうしたの?」


顔なんか覆って…

はっ!

「痛いの!?」

目にゴミとか入ったりした!?



「佐倉って無自覚なの?」

…はぇ?
どういうこと?

ポツリとそう言った秋斗くん。
指の隙間から私を見ている。


…いや、どちらかと言うと無自覚なのはあなたなのでは?

好きな人いないとか抜かす割に勘違いしてしまうような言動しやがるからね?
君?わかってる?


「秋斗くんには言われたくない!」

「なんでよ」

「なんでも!」

「なんだよー」

「なーんーでーもー!」


クスクスと笑う秋斗くんに
このやろう!なんて思いながらも

その作られたものではない、純粋な笑顔にまた胸がキュンとする。



「ありがとう佐倉」

「え?」

「…色々」


秋斗くんと目が合う。
なんだか見慣れない目をしている。

いつもより細くて喜怒哀楽がわかりづらいけど、それでも確かに柔らかさを連想させる穏やかな目。

きっと、秋斗くんのなんにも着飾ってない素直な目なんだろう。



「買い物済ませちゃおうか」



「うん!」