「誰か手隙の人で食材の買い出し行ってくれる人ー!」

クラスの女の子が呼びかけた。


あ、私手隙!
自分の仕事終わって暇になった!

「はーい!私行くよ!」

「あー!ありがと美桜ちゃん!」

ちょっとでも役に立ちたいぜ!



芽依ちゃん空いてるかな。
空いてたら一緒に行ってもらおー

「あ、芽依ちゃーん!」

「なんじゃ」

「買い出し一緒に行かない?」

「めんどくさい」

ぴしゃん!シャッターガラガラ!ぴえん!


「いーけーずー!」

「重いし暑いし、いやよーいやいや」

「ええー」

高坂芽依。NOと言える女。



「佐倉」

芽依ちゃんの腕を持ってぶらぶらしながらぐずる私を呼ぶ声。

「秋斗くん?」

思いがけず想い人登場。


芽依ちゃんが音もなく消える。
あの人いつも秋斗くん来ると消えるんだよね。
気使ってくれてるのかな?


「どうしたの?」

「買い出し行くんでしょ?俺も手隙だから一緒に行くよ」

えっ!?


「いいの!?」

「しぃーっ」

へ?

思わず大きな声を出した私に人差し指を立てる秋斗くん。

な、なに?


「ここにいると着せ替え人形にされるから脱出したい」

あ、ああ
そういう理由ね。

「心得たっ」