「霜崎くん!」

「……」

あ、そういえばすぐ手伝いにくるって言ってくれてたんだった。


「佐倉さ…」

駆け寄ってきた霜崎くんは、隣の秋斗くんに気づいた瞬間怖いくらい真顔になった。

な、なになに
怖いて顔。


「……」

「……」

な、なんだ?
酸素まずいよ。
花火大会の時とデジャヴだよ。



「石灰粉、女子に持たせんなよ」

秋斗くんが低い声でそう言った。

女の子から女子になってるよ。


「…そりゃ悪かったな。こっからは俺が運ぶから貸せよ」

眉間に皺を寄せた霜崎くんが雑に手を出す。

秋斗くんは動かない。
私もウゴケナイ。


「体育委員の仕事なんで」

秋斗くんから石灰粉の袋を奪うように取る霜崎くん。
なんでこの2人こんなに仲悪いの??



「…行こう佐倉さん」

あ、はい。

「じゃあね、秋斗くっ!?」

秋斗くんに手を振ったらその手をガッと掴まれる。


ひょえっ!?
な、なんじゃ!?


「あ、秋斗くん?」

と、問いかけてみても
秋斗くんが見ているのは私ではなく霜崎くん。


「…離せよ。佐倉さん困ってるから」


困ってるわけではないけど
混乱と緊張でめちゃくちゃになってる。
(世間一般ではそれを困ってると言う)

花火大会の時も思ったけど秋斗くんの手って大きい。



「…佐倉」



「借り物競走、頑張ってね」

にっこりと私に笑いかけた秋斗くん。


あ、そうか!
もうすぐ出番だ!

「うん!」


するりと手を離して、もう一度私から視線を霜崎くんに移した後、去って行った。