「無事?」

「お、おかげさまで…」

前のめりに倒れ込んだので秋斗くんに前からもたれかかるみたいになってしまっている。

ドギュンドギュンと心臓が暴れる。


「石灰粉なんて女の子が1人で運ぶもんじゃないよ」

「あ」

ひょいと軽々私が持っていた石灰粉を取った秋斗くん。


「運ぶの手伝うよ」

えええ!

「そんな悪いよ!体育委員でもないのに」

「いいよ。佐倉じゃ運べないでしょ」

ぬぅ…
イケメンかよ…


「じゃあ…お言葉に甘えて」

私の言葉ににっこり笑う秋斗くん。

「ありがとう」

「いいよこれくらい。俺男だから」



ドキンと確実に聞こえた心臓の鳴き声。

ああもう。
またあからさまな恋の音。


苦しいのに
癖になりそうな甘さで

まるで悪いものに取り憑かれているみたいだ…