「てか、浴衣ないって言ってたじゃん」

あ、そうだった。
霜崎くんには浴衣ないって言ったんだった。


「千夏ちゃんが貸してくれたの」

「ほーん」

「似合ってたでしょ!」

「馬子にも衣装だね」


はぁん!?

馬子にも衣装!?
※どんな人でも身なりをきちんとすればまあそれなりに良く見える的な



「嘘だよ」



「可愛かった。びっくりするくらいに」



くすりと笑った霜崎くん。
不意打ちの笑顔に思わず心臓がキュンとなる。


「あ、今胸キュンしたでしょ」



「し、してない!!」

「嘘つけー」

「してないもん!」

「俺に言われてそんなんなら、萩原に可愛いなんて言われたときは無事だったわけ?」


あーいや

「秋斗くんは可愛いとは言わなかったから心臓は無事だった」

ま、実質
馬子にも衣装なところがあったんだろう。



「え?…言われてないの?」

「うん?でも似合ってるとは言ってくれたよ」

「ふーん…なんだあいつ。見かけによらずチキンだね」



「そんなことないよ!」