「…こいつに襲われたんじゃないの?」

「違う人だよ。霜崎くんはたまたま通りがかって助けてくれたの」

「………そう」

秋斗くんが掴んでいた霜崎くんの服を離した。

ほっ
とした矢先…



「よかったの?」

霜崎くんが揶揄うような声色で言った。

「…何が?」

秋斗くんの低い声。

何故か霜崎くんは怪しげな笑みを浮かべている。




「そんな怖い顔見せちゃって」

え?どういう意味?

「君の計算が狂うんじゃない?」

「……」

計算…?
なんの…話をしてるの?



「構わないよ」

秋斗くんがスッと息を吸って軽く言った。

そして霜崎くんに意味深に近寄る。


「計算なら、またやり直せば良いだけの話」

…なに?
なんの話…?


「っ…おまえ…」

「心配してくれてどうもありがとう。佐倉のおともだちさん」

「…っ」


ぎりっと歯を結ぶ霜崎くんに背を向ける秋斗くん。


何この空気…

なんのことを言ってるの?

何もわからない…