「ってぇな!テメェ何すんだよ!」
吹っ飛ばされた男の人が怒鳴る。
「こっちのセリフだ、俺の連れに何か用か。気安く触ってんじゃねえよ」
どんな表情を向けたのか分からないけど
そう言った霜崎くんの顔を見て、ナンパ男はヒィッと息を呑んだ。
「騒ぎにしたくない、もう行け」
その低い声に再び怯えたような顔をして、転がるように逃げていく酔っ払い2人…
再び人通りの少ない静かな屋台裏。
そこに崩れるように座り込む私と、どこから現れたか分からない霜崎くん。
あっという間の出来事で何があったのか全然分からないけど…
とにかく…
た、助かったんだ…
「…やっぱり佐倉さんだったんだ。女の子の声が聞こえて見覚えのある人が絡まれてたから」
霜崎くんは静かにそう言って、転がっていた私のスマホを拾い上げた。
「大丈夫?」
…
こ、怖かった…
もうダメかと思った…
助けてくれた…
霜崎くんが…助けてくれた…